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Channel: カープと野球と、あと一つ
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前田智徳引退~ありがとう、そしてお疲れ様でした~

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覚悟していたことが起きてしまいました。でも、受け入れられません。『前田智徳引退』の報を聞いたのは旅の帰路で、私はその時何が現実で起こっているのかまったく理解できませんでした。今もよく整理できていません。ニュースも見られず、映像で触れることができなかった私は、動画サイトで引退会見の模様を確認し、そして前田さんが話すその言葉をぼーっとした思考の中で聞いていました。『故障だらけの選手を最後まで応援してくれてありがとうございました』やっと現実のことだと自覚したのはこの言葉です。かつて6年前に2000本安打を達成した際に『こんな選手を応援していただいてありがとうございます』と言ったあのときを思い出させるような言葉に、「ああ、これは現実のことなんだなと」そう思いました。思えば前田さんとの出会いは11年前でした。当時単なるカープファンであった私は、その日も何気なくカープ戦を見ていました。その時、ホームランを放ち、ベンチ裏のインタビューで『良かったのぉ』と解説から声をかけられ、涙を浮かべ答えている選手がいました。それが前田さんでした。その時、私は彼がなぜ泣いているのか、よくわかりませんでした。しかし当時小学生の私であっても彼の涙から、何か大変なものを感じずにはいられませんでした。その後、気になった私は『前田智徳』という選手について調べてみることにしました。そして出てくるエピソードの数々。『天才』『求道者』『侍』さまざまな言葉で称えられる彼の異常なまでの野球に対してのストイックさは、私を一気に惹きつけました。それから『バッター前田』を注目して見るようになった私は、その打席での一つ一つの所作に、エピソード以上の魅力を感じていました。鋭い眼光。美しいフォーム。無駄のない綺麗なスイングから放たれた糸を引くような打球は、ライト前へ、あるいはスタンドへ大歓声と共に吸い込まれていきました。しかし彼はそれに首を傾げ、つまらなさそうに、不満そうにベース上で仁王立ちをする。かっこいい。ただただかっこいい。前田智徳という打者に、気づけば私は心底惚れていました。それから前田さんの打席は、私の心の支えになっていました。前田さんがいるから試合を見る。前田さんがいるから野球が楽しい。一打席一打席が、一挙手一等足が、私のすべての支えになっていました。それがもうないなんて。それがもう見れないなんて。あなたの打席が見れないなんて。寂しい。受け入れたくない。でも何よりも、大好きな前田さんが決めた決断だから。私は心から感謝をこめて、最後にこの言葉を送りたい。ありがとう前田智徳。

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